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生理現象を解消するために、姿を消した夫を待ちながら、 ひとり、うぐいすの声に聞きほれているときだった。 峠のほうから降りてきたカブというのか、小さなバイクに乗ったヘルメット男が、 スピードをゆるめてこっちに近づいてくる。 なんじゃいなー、ここで弁当食べるなとでも言いたいんかいな、 それとも、夫の立ちションをチラリとでも見たか、、、。 バイクが止まった。 挨拶をするほかはない。 「こんにちわー」 バイクに跨ったままのヘルメット男は目ざとく車のナンバーを目に入れたらしく、 「ほう、神戸から」 「は、はぁ、、、」 ヘルメットに続く顔は太鼓まんじゅうのように丸く、 北国特有であろうか、頬に赤みがさしていた。 その丸い顔とくるくるした目が気の良さをもろに出している。 バイクの前のカゴには見出しもでかでかと派手たらしいスポーツ新聞が入っていた。 どう見ても、地元の中年、いや青年晩期か。 「どこどこ回って来られたんですか」 「はぁ、いろいろ、、、」 「これからどこへ行かれるんですか」 気の良さそうなヘルメット男だが、尋ねることはケーサツ並みである。 精一杯、努力して使っているような標準語がうっとおしくなってくる。 二人のやりとりを聞いたものか、うぐいすもぴたりとさえずりをやめてしまった。 戻ってきた夫は触らぬ神にたたりなしを決めこんで、 近くに寄って来ようともしない。 <つづく> |
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